フレイルとサルコペニアの違いは?
近年、高齢社会が進む中で「フレイル」や「サルコペニア」といった言葉を耳にする機会が増えています。
どちらも健康寿命を左右する重要な要素であるにもかかわらず、その違いが明確にならないまま混同されてしまうケースも少なくありません。
さらに、医療や介護だけでなく、普段の生活習慣や心身の状態とも深くかかわっているため、正しく理解しておく必要があります。
本コラムでは、フレイルとサルコペニアの基本的な違いをはじめ、ロコモティブシンドロームとの関係、予防法や改善策について幅広く解説します。
最後には、再生医療の分野で期待されるフレイルやサルコペニアへのアプローチ方法に触れ、今後の健康維持に役立つ知識をまとめています。ぜひ参考にしてみてください。
フレイルとサルコペニアの違いとは?
フレイルとサルコペニアの定義と特徴
まずは、それぞれの言葉の定義から整理しましょう。
フレイル(frailty)は、身体的・精神的・社会的な脆弱性が高まった状態を指す概念です。
高齢になると筋力や体重が落ちやすくなり、食事量も減少しがちです。
その結果、体力や活動量が低下し、転倒や骨折などのリスクが高まってしまいます。
また、うつ傾向や社会的な孤立が重なりやすい点も特徴的です。
健康と要介護の中間のような状態ともいわれており、早期に気づいて対策を講じることで、要介護状態に移行するのを防ぐことが期待できます。
一方、サルコペニア(sarcopenia)は、加齢に伴って筋肉量が低下し、筋力や身体機能が損なわれる症状を主に示す言葉です。
ギリシャ語の「sarx(筋肉)」と「penia(減少)」を組み合わせた用語で、加齢による筋肉の減少を意味しています。
特に下半身の筋力が衰えると歩行速度が遅くなったり、立ち上がりが困難になったりするため、日常生活に支障が出てしまいます。
フレイルとサルコペニアの共通点と相違点
フレイルとサルコペニアは、高齢者に多く見られる身体機能の低下という点では共通しています。
また、どちらも進行してしまうと要介護につながる大きなリスクとなるため、予防や早期発見が極めて重要です。
ただし、以下の点で異なる部分があります。
概念の広さ
フレイルは身体面だけでなく、精神面・社会面の脆弱性も含む広い概念なのに対し、サルコペニアは筋肉量や筋力の低下が中心です。
評価方法の違い
フレイルは体重減少や疲労感、活動量や握力などの複数の指標を組み合わせて総合的に評価します。
一方、サルコペニアは筋肉量の減少と筋力・身体機能の低下を測定することで評価される傾向にあります。
対策の焦点
フレイルでは食事管理や適度な運動だけでなく、社会参加やメンタルヘルスの維持が重要です。
サルコペニアは特に筋トレなどで筋肉を鍛えることが主な対策とされますが、やはり栄養や運動習慣が密接に関係します。
ロコモティブシンドロームとの関連性
ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、骨・関節・筋肉などの「運動器」の機能が低下し、移動能力が損なわれている状態を指します。
フレイルやサルコペニアは、ロコモを引き起こす原因の一部として位置づけられることも多いです。
たとえば筋肉量の減少による歩行困難はロコモの症状の一つであり、骨粗しょう症などの他の疾患とも合わさると転倒や骨折の危険性をさらに高めます。
このようにフレイルやサルコペニア、ロコモティブシンドロームは互いに関係し合っており、一つの状態が他の状態を招く「負の連鎖」が起こりやすい点が特徴です。
したがって、いずれの側面からも多角的に対策をとることが必要となります。

フレイルとは?厚生労働省の定義と対策
フレイルの症状と原因
フレイルは、身体的な虚弱性だけでなく、認知機能や社会的な繋がりの不足によって総合的に弱っている状態です。
厚生労働省もフレイルを重要な健康問題として位置づけており、特に以下のような兆候や症状がある場合にフレイルが疑われます。
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- ・体重の減少
意図せず体重が減っている、食欲が落ちている。
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- ・疲労感・倦怠感
ちょっとした活動で疲れやすい、やる気が出ない。
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- ・身体活動量の低下
外出が減り、家にこもりがちになる。
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- ・社会的孤立
家族や友人、地域との交流が少なくなる。
原因は多岐にわたり、加齢による身体機能の衰えや慢性的な疾患、精神的ストレスなどが複合的に影響します。
また、食生活の乱れや運動不足が拍車をかけるケースも少なくありません。
フレイルの進行を防ぐために
フレイルは要介護の一歩手前といわれる状態ですが、適切な対策を行えば進行を食い止め、改善することが可能です。
たとえば以下のような方法があります。
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- ・バランスの良い食事
たんぱく質やビタミン、ミネラルなどが不足しないように注意する。
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- ・適度な運動
ウォーキングや軽い筋トレを継続的に行う。
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- ・社会参加
地域活動やサークル活動に参加し、人とのコミュニケーションを大切にする。
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- ・メンタルケア
うつ状態や不安がある場合は専門家に相談する。
フレイルは身体面と心の状態、そして社会環境が複雑にからみあっています。
早めに気づいて対策を実行することで、健康な状態を長く維持できる可能性が高まります。
社会参加がフレイル予防に与える影響
フレイル予防では、運動や食事と並んで社会参加が非常に重要視されます。
家に閉じこもりがちになると、身体を動かす機会が減少するだけでなく、人とのコミュニケーションが少なくなるため、認知機能や精神的な健康にも影響を及ぼします。
地域のボランティア活動や趣味のサークルなどに参加することで、楽しみながら体を動かし、仲間との交流から心の刺激も得られます。
また、役割や目標を見出すことで生活に張り合いが生まれ、生きがいを感じられる点も大きなメリットです。
これらの相乗効果によって、フレイルの進行を予防・改善できる可能性が高まります。
サルコペニアとは?筋肉量低下と健康への影響
サルコペニアの原因とリスク要因
サルコペニアは加齢に伴う筋肉量の減少が主な特徴です。
特に高齢になると筋肉を作り出す能力が低下しやすく、下半身の筋力が顕著に衰えます。
原因としては以下のようなものが挙げられます。
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- 加齢によるホルモンバランスの変化
成長ホルモンやテストステロンの分泌が減ることで筋肉がつきにくくなる。
-
- 運動不足
日常生活での歩行や運動量が減り、筋肉を維持する機会が少なくなる。
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- 栄養不足
たんぱく質や必須アミノ酸の不足が筋肉の合成を阻害する。
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- 慢性疾患
糖尿病や心疾患、関節疾患などがあると、活動量が制限されやすい。
これらのリスク要因が重なると、筋肉量や筋力が著しく低下し、日常生活に支障をきたす可能性があります。
特に歩行速度の低下や手足の筋力低下が顕在化してくると、転倒事故や寝たきりのリスクが格段に上がってしまいます。
フレイルとサルコペニアの関係性を解説
フレイルとサルコペニアは密接な関係にあります。
サルコペニアが進行すると筋力が低下し、疲れやすくなるため、身体的活動量が減少してフレイルへと移行しやすくなるのです。
また、フレイルによって活動量や食欲が落ち込むと、さらにサルコペニアが進むという悪循環に陥ることもあります。
どちらも早期発見と早期対応が重要です。
例えば、ふくらはぎの太さを測定したり、歩行速度をチェックしたりすることで、自分の状態を客観的に把握できます。
もし「あれ? 最近足腰が弱ってきたかも……」と感じたら、具体的な数値に基づいて対策を練ることが大切です。
サルコペニアが寝たきりや介護に繋がる理由
サルコペニアが進行すると、筋力の低下から歩行能力や立ち上がりなどの日常生活動作が困難になります。
結果的に、日常生活で介助が必要となり、さらに活動量が減って筋力低下が加速するという、負の連鎖が生じやすくなります。
また、転倒による骨折などが発生すると、痛みや手術後の安静期間を経ていっそう筋力が落ち、長期的な介護が必要になる可能性も高まります。
こうした寝たきり状態を回避するためには、予防と早期のリハビリテーションが欠かせません。
フレイル・サルコペニア・ロコモの3つの違い
フレイル、サルコペニア、ロコモを覚える順番とコツ
フレイル、サルコペニア、ロコモは、いずれも高齢社会を語るうえで重要なキーワードです。
とはいえ、3つとも身体機能の低下にかかわる概念であるため、区別が曖昧になりがちです。
覚えるコツとしては、まずそれぞれの「核となる要素」を押さえることが大切です。
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- フレイル
身体・精神・社会面が一体となって脆弱化した状態
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- サルコペニア
筋力低下や筋肉量の減少が顕著な状態
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- ロコモ(ロコモティブシンドローム)
運動器(骨・関節・筋肉など)の機能が低下して移動能力が落ちた状態
上記のポイントを押さえたうえで、「フレイルは広い概念」「サルコペニアは筋肉」「ロコモは運動器」と頭の中でイメージすると理解しやすくなります。
ロコモティブシンドロームの特徴を知る
ロコモティブシンドロームは、移動に関する障害が主な特徴です。
転倒しやすい、歩行スピードが遅い、階段の上り下りが困難などの症状があれば、早めに専門医やリハビリスタッフに相談する必要があります。
骨粗しょう症、変形性膝関節症、脊柱管狭窄症などの病気とも関連が深く、ロコモを発症すると痛みを伴うことが多くなるため、一層活動量が減りがちです。
痛みの軽減や筋力・関節可動域の回復を目指す治療やリハビリテーションは、ロコモティブシンドロームの対策において欠かせないポイントといえます。
3つの状態をセルフチェックする方法
日常的なセルフチェックは、フレイルやサルコペニア、ロコモの早期発見に役立ちます。
たとえば、下記のような方法があります。
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- 握力の測定
自宅に握力計があれば、定期的に記録を取り、下がり続けていないか確認する。
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- ふくらはぎ周囲径の測定
ふくらはぎの一番太い部分を測り、数値が一定以下(男性34cm、女性33cmなど)であれば要注意。
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- 歩行速度の計測
通常の歩行速度が毎秒1mを下回るようであれば、フレイルやサルコペニアのリスクが疑われる。
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- ロコモ度テスト
片脚立位や2ステップテストなど、自分でできる簡易テストを活用する。
これらの測定やテストで少しでも異変を感じたら、早めに医療機関や専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。
フレイルとサルコペニアの予防法【食事編】
たんぱく質の重要性と摂取量の目安
フレイルやサルコペニアを予防するためには、何よりもまず十分な栄養補給が欠かせません。
特に『たんぱく質』は筋肉の材料となるため、高齢者ほど意識的に摂取することが求められます。
一般的に、高齢者のたんぱく質摂取量の目安は「体重1kgあたり1.0g以上」とされています[1]。
たとえば体重60kgの人であれば1日60g程度を目標にすると良いでしょう。
ただし、個人差も大きいため、医師や管理栄養士に相談しながら適切な摂取量を決めることをおすすめします。

栄養バランスを整える具体的な食事例
たんぱく質だけに偏らず、ビタミンやミネラル、食物繊維などもバランスよく摂取することが大切です。
以下はバランスの取れた食事の一例です。
朝食
納豆や卵を使った和朝食、野菜たっぷりの味噌汁など。
昼食
魚の塩焼きや鶏むね肉のソテー、サラダ、玄米や雑穀米など。
夕食
大豆製品(豆腐・おから)を使った煮物、肉や魚、野菜炒めなど。
食材選びのポイントとしては、脂質の少ない肉や魚、植物性たんぱく質などを適度に組み合わせることが挙げられます。
煮物や汁物を活用すれば、野菜やきのこ類をしっかりと摂取できるため、食物繊維やビタミンを効率よく補給することが可能です。
高齢者が積極的に摂取すべき栄養素
高齢者の方々には、以下の栄養素を特に意識して摂取していただきたいです。
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- <;li>ビタミンD
骨の健康や筋力維持に寄与します。
きのこ類や魚介類に多く含まれ、適度な日光浴も重要です。
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- ビタミンB群
エネルギー代謝や血行促進にかかわります。豚肉やレバー、卵などに豊富です。
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- カルシウム
骨や歯の形成だけでなく、筋肉や神経の働きにも影響を与えます。
牛乳や小魚、大豆製品などを積極的に取り入れましょう。
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- オメガ3脂肪酸
青魚(サバ、イワシなど)に含まれ、炎症を抑える作用や血管の健康維持が期待されます。
特定の栄養素だけを過剰摂取するのではなく、いろいろな食品をバランスよく食べることが結果的にフレイルやサルコペニアの予防につながります。
フレイルとサルコペニアの予防法【運動編】
筋力低下を防ぐ運動方法
フレイルやサルコペニアの予防には、適度な運動が不可欠です。
特に効果的なのは、筋トレやレジスタンス運動と呼ばれる、筋力を鍛えることを目的とした運動です。
たとえば、スクワットやかかと上げ下ろしなど、自重を利用したトレーニングは高齢者でも取り組みやすいものが多いです。
ジムに通うのが難しい場合は、自宅でも椅子を使ったスクワットやペットボトルを重り代わりにしたアームカールなどを行うとよいでしょう。
週に2~3回、無理のない範囲で継続することで、徐々に筋力の維持・向上が見込めます。

ウォーキングの重要性と正しいやり方
ウォーキングは、誰でも始めやすく、継続しやすい有酸素運動の代表格です。
心肺機能の向上や血行促進に加え、下半身の筋力を維持する効果もあります。
正しい歩き方のポイントは以下の通りです。
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- 姿勢を正す
背筋を伸ばし、目線は前方を向く。
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- 腕をしっかり振る
前後に大きく振ることで、バランスが安定し、消費カロリーも増える。
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- 足の着地はかかとから
かかと→足裏→つま先の順に体重を移動させる。
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- 呼吸を意識
息が弾む程度の速さを目安にし、苦しいと感じたらペースを調整する。
ウォーキングは天候や体調に左右される部分もあるため、室内でできるステッパーや踏み台昇降を代替として取り入れるのも一つの方法です。
ふくらはぎテストの活用と筋力維持
ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、血液循環や下半身の安定に大きな役割を果たします。
ふくらはぎテストとしては、以下のような簡単な方法があります。
- 1. イスに座り、片足のつま先をゆっくりと上げ下げする。
- 2. どのくらいの回数で疲れを感じるかをチェックする。
- 3. 逆足も同様に行い、左右差が大きい場合は注意が必要。
ふくらはぎの筋力が衰えると、歩行バランスが悪くなり、転倒リスクが高まります。
ふくらはぎを重点的に鍛えることで、筋力低下のスピードを緩やかにし、サルコペニアの予防にも役立ちます。
社会参加と健康寿命の延伸
人との交流が心身に与える影響
人と関わる機会が多いほど、心身ともに元気でいる確率が高まることが数多くの研究で示されています。
会話や共同作業は脳を刺激し、うつの予防やストレス軽減に役立ちます。
また、人とのつながりを持ち、助け合いができる環境は、万が一の体調不良や生活上のトラブルが起きた際にも大きな支えとなります。
フレイルやサルコペニアの状態に陥ると外出が億劫になりがちですが、そうしたときこそ意識的に社会参加を検討してみるとよいでしょう。

社会機会を増やすための具体策
社会参加の手段はさまざまです。
地域活動やボランティア、自治会の行事、趣味の教室、オンラインコミュニティなど、形式にこだわらず自分に合った方法を探しましょう。
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- ボランティア活動
子どもたちの学習サポートや清掃活動など、地域社会に貢献しつつ人との交流も得られる。
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- サークルや趣味の教室
囲碁・将棋、ダンス、英会話など、興味のある活動を通じて仲間ができる。
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- オンラインコミュニティ
外出が難しい場合でも、インターネットを使ったビデオ通話やSNSで交流が可能。
大切なのは、自分が楽しめるかどうかを基準に選ぶことです。
楽しく続けられる社会参加は、心と体の健康維持に大きく寄与します。
日常生活でできる簡単な活動方法
社会参加とはいえ、大きな組織に入ったり、重い責任を伴う活動をしたりする必要はありません。
日常生活のちょっとした工夫でも心身の活性化につながります。
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- ご近所同士の声かけ
ちょっとした挨拶や世間話をするだけでも気分転換に。
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- 買い物のついでに散歩
スーパーなど身近な場所へ行く際に遠回りをして歩く機会を増やす。
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- 趣味の情報交換
読んだ本の感想を家族や友人に伝えたり、おすそ分けのやり取りをする。
こうした日々の小さな交流や行動が積み重なり、フレイルやサルコペニアのリスクを下げることに繋がります。
生活習慣がフレイル・サルコペニア予防のカギ
生活習慣病が引き起こすリスクとは
生活習慣病である糖尿病、高血圧、脂質異常症などは、フレイルやサルコペニアと深いかかわりがあります。
これらの病気が進行すると、血流や代謝が悪化し、筋力や骨の健康に影響を及ぼすためです。
さらに、生活習慣病の治療や合併症によって、長期入院や運動制限が必要になるケースもあります。
その結果、活動量の減少から筋力低下が起きたり、ストレスが増加して食欲が落ちたりするなど、フレイルやサルコペニアのリスクが高まってしまうのです。
健康寿命を延ばすための生活改善
健康寿命を延ばすためには、生活習慣を根本的に見直すことが重要です。
以下のようなポイントを意識してみましょう。
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- 適切な睡眠
睡眠不足はホルモンバランスを崩し、肥満や生活習慣病のリスクを高めます。
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- ストレスマネジメント
趣味やリラクゼーション法を取り入れて、自分に合った方法でストレスを発散する。
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- 禁煙・節酒
喫煙は血管の老化を進め、アルコールの過剰摂取は肝機能などに負担をかけます。
規則正しい生活習慣が身につけば、食事や運動にも前向きに取り組みやすくなるため、フレイルやサルコペニアの予防にもつながります。
寝たきり・要介護を防ぐための習慣づくり
寝たきりや要介護にならないためには、日常的な「セルフケア習慣」を確立することが大切です。
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- 早期受診の習慣
体調に異変を感じたら我慢せずに病院へ行く。
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- 口腔ケア
歯や口の健康は栄養摂取に直結します。口腔ケアを怠ると食べにくくなり、栄養不足に陥る可能性が高まります。
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- 適度な休息と活動
無理をせず、自分の体力に合わせて運動と休息をバランスよく取る。
こうした習慣を日頃から意識することで、介護予防に大きく寄与します。
フレイルとサルコペニアのチェック方法
簡単にできるふくらはぎのセルフチェック
サルコペニアやフレイルの初期段階を把握するには、手軽にできるセルフチェックが有効です。
ふくらはぎを両手でつかんでみて、親指と人差し指がくっついてしまう場合は要注意とされています。
また、柔らかく感じる場合も筋肉が落ちているサインかもしれません。
このチェックは座ったままでも立ったままでも行えますので、定期的に実施して、自分の下半身筋力の変化を把握してください。
日常生活で気をつけたい症状やサイン
フレイルやサルコペニアは徐々に進行するため、見逃しやすいのが難点です。
以下のような症状に心当たりがある場合は、早めに専門家に相談しましょう。
- 立ち上がりに時間がかかる、またはふらつく
- 階段の上り下りが負担になってきた
- 以前よりも疲れやすく、休みが必要になった
- 食事の量が減った、体重が知らないうちに落ちている
- 人との交流が面倒に感じ、家で過ごす時間が圧倒的に増えた
これらのサインを放置してしまうと、要介護状態に移行しやすくなります。
大きな病気の前触れである可能性もあるため、無理せず専門機関を受診するようにしましょう。
専門家に相談すべきタイミングとは
フレイルやサルコペニアの兆候を感じたら、早期に受診しておくほうが安心です。
運動器や整形外科の専門医、またはリハビリテーション科に相談すると、筋力測定や骨密度検査など、より詳しい調べが可能です。
また、管理栄養士による食事指導や、作業療法士・理学療法士による運動指導を受けることで、自分に最適なトレーニングや栄養摂取計画を立てることができます。
特に持病がある方は、主治医と連携しながら適切なケアを受けることが重要です。
再生医療によるフレイルやサルコペニアの改善
近年、再生医療の分野が急速に発展しており、フレイルやサルコペニアの改善に向けた新たなアプローチが注目されています。
再生医療とは、失われた組織や臓器の機能を細胞レベルで修復・再生させることをめざす医療分野です。
幹細胞(ステムセル)を活用して痛んだ組織を修復し、自然治癒力を高めることで症状を改善したり、進行を食い止めたりする効果が期待されます。
具体的には、以下のような方法があります。

幹細胞治療
自分自身の脂肪組織や骨髄などから取り出した幹細胞を培養・加工し、体内へ戻すことで、痛んだ筋肉や関節の修復を促す。
ただし、再生医療はまだ研究段階の部分も多く、すべての患者さんに対してすぐに適用できるわけではありません。
また、費用面や安全性、倫理的な課題など、クリアすべき問題は少なくありません。
それでも、今後の高齢社会において大きな期待が寄せられているのは事実です。
特に筋肉や関節を再生・修復する技術が発展すれば、フレイルやサルコペニアの進行を遅らせるだけでなく、身体機能を飛躍的に向上させる可能性が見込まれます。
日常生活の質を高めるためにも、再生医療の新たな成果は今後ますます注目されることでしょう。
まとめ
本コラムでは、フレイルとサルコペニアの違い、ロコモティブシンドロームとの関連性、そして予防法や改善策を中心に解説しました。
フレイルは身体的・精神的・社会的な脆弱性を総合的にとらえた概念であり、サルコペニアは主に筋肉量や筋力の低下を示すものです。
この二つはお互いに深く関わり合い、適切な対策を怠ると要介護状態へと進行しやすくなります。
一方で、食事や運動、社会参加といった生活習慣の見直しを行うことで、そのリスクを抑えたり、症状を改善したりすることは十分可能です。
特に高齢者ほど栄養バランスと筋力維持が重要になりますので、たんぱく質を意識した食事や無理のない範囲での筋トレ、ウォーキングを心がけることが大切です。
最近では再生医療が大きな注目を集め、幹細胞や先端医療技術を活用して、フレイルやサルコペニアの予防・改善を図る研究・臨床が進んでいます。
高齢化社会の新たな切り札として期待されているのは間違いありません
フレイルやサルコペニアは、年齢を重ねるなかで誰もが向き合う可能性のある課題です。
しかし、早めの気づきと対策次第で、その影響を最小限に抑え、元気に過ごすことは十分に可能です。
自身や家族の健康を守るためにも、ぜひこの機会にフレイルやサルコペニアについて正しく理解し、できることから実践してみてください。
#フレイル #サルコペニア #ロコモ #ロコモティブシンドローム
参考文献
[1]日本人の食事摂取基準(2020 年版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf